心理学×コーチング×インナーゲーム

コミュニケーションはキャッチボール®︎ 〜この気もち、伝えたい それがコミュニケーションのはじまりでした〜伊藤 守さんの絵本より

コミュニケーションをキャッチボールに例えると、相手とのやりとりが自然でスムーズになることがよくわかります。これは、投げたボールがしっかりキャッチされ、また返されることによって成り立つ、相互の理解と信頼のプロセスです。

以下に、コミュニケーションの重要性を述べている2冊の本を紹介しながら、その良さをお伝えしたいと思います。

1 伊藤 守著 「この気もち 伝えたい」(絵本)より

この本の著者は、コーチングを初めて日本に紹介したコーチエイのファウンダー、伊藤守さんです。
コミュニケーションはキャッチボールに例えられることがよくありますが、その原点がここにあります。

この絵本は、子どもたちが自分の気持ちを相手に伝えること、そして相手の気持ちを受け取ることの大切さを学ぶための素晴らしい本です。

この絵本は、優しいイラストとともに、コミュニケーションによって生まれる素朴な感情を、わかりやすく短い言葉で表現されています。どうして気持ちを伝えることが難しいのか、また、どうして気持ちを受け取ることが難しいのか、心の中の葛藤を自分自身の体験と重ねながら、読み進めていくうちに大切なことに気づくはずです。

この本を通じて、子どもたちはコミュニケーションがただの言葉のやりとりではなく、心と心の交流であることを学ぶことでしょう。

彼は絵本の中で、「コミュニーションのはじまり」に起こる感情をこう表現しています。

自分から投げるより、
むこうからくるのを待っていたい。
なぜって、
じぶんから投げて、
無視されると、悲しいから。 ※1

私自身、この本を読みながら、子どもの頃に気持ちをうまく伝えられずに悩んだ経験を思い出しました。絵本のストーリーに共感しました。もっと早くこういった本に出会っていたら、より豊かなコミュニケーションができていたかもしれません。

もちろん、大人になった今読んでも、実生活に置き換えて考え、コミュニケーションの難しさや奥深さを学ぶことができます。この本は、大人にとっても、実際に役立つ具体的なヒントが満載です。


※1 伊藤 守著「この気もち 伝えたい」ディスカバー21発行 1992より引用

2 伊藤 守著 「コミュニケーションはキャッチボール®︎」より

この本は、コミュニケーションをキャッチボールに例えて、その基本的な技術や心構えを述べています。1の絵本と同じ内容を、伊藤氏がさらに詳しく解説している本です。実際に多くの企業研修にも導入されているそうです。

伊藤氏は、コミュニケーションの基本を「キャッチボール」に例えて説明しています。このアプローチは、言葉のやり取りが一方通行ではなく、互いに受け取り、返すという双方向のプロセスであることを強調しています。これにより、相手の言葉をしっかりと受け止めることの大切さを再認識させられます。

キャッチボールでは、相手がキャッチしやすいようにボールを投げることが重要であり、コミュニケーションも同様に、相手が理解しやすい言葉や態度で伝えることが大切です。著者は、具体的な例や実践的なアドバイスを通じて、日常生活やビジネスシーンで役立つコミュニケーションのスキルを紹介しています。

ここでは、この本のあとがきに紹介されているエピソードを一部ご紹介します。※2はその一部です。この出来事は、伊藤氏が、キャッチボールそのものが、コミュニケーションに大きく影響すると考えるようになったきっかけになっているそうです。

そしてそれ以降、伊藤氏は、研修の中で実際にボールをつかってキャッチボールをしながら、コミュニケーションの在り方を伝えたと言われています。

伊藤氏が1974年の春、コミュニケーションの研修の講師をしていたときのこと、あるひとりの女性教師と出会います。30歳ぐらいだった彼女は、とても警戒心の強く、論理的なことした受けつけないタイプだったそうです。

少し打ち解けて話したいと思い、いろいろ試してみても全く話がかみ合わない。言葉上の意味は通じていても、「伝わっている」という実感がない。不全感だけが募るやりとりが30分から40分続き、いよいよ打つ手がなくなった、、


そのときです。たまたま部屋の中にあったゴムボールが目に入りました。

わたしは研修のときに、よくいろいろなものを持ち込みます。コミュニケーションが途絶えたときに使う道具としてです。ゴムボールはそのひとつでした。

わたしはそのボールを拾って、彼女に向かってちょっと投げてみました。


おもしろいことに、人って、ボールを投げると、受け取って、それから、必ず投げ返してくるんですね。そのときの彼女もそうでした。自然に私にボールを投げ返してきました。そこで、わたしはまた彼女にボールを投げました。するとまた返してきました。

次にまたボールを投げるとき、彼女に向かって言いました。
「あんまり話がかみ合わないね」

そうしたら彼女がボールを投げ返しながら、「そうね」と言いました。
「そうね」は、彼女との会話における最初の同意でした。それまでの二人の会話にはなんの同意もありませんでしたから。
 ※2

この本を読んで、私自身もコミュニケーションスタイルを見直すきっかけとなりました。特に、相手の反応をよく観察し、適切なタイミングでフィードバックを返すことの重要性を再認識しました。キャッチボールのように、相互のやりとりが円滑に進むことで、お互いの信頼関係が深まることを実感しています。

さらに、あとがきにはこんな言葉も記されています。「コミュニケーションは手段ではなく、それそのものが目的である。」と。伊藤氏が「コミュニケーションの可能性」を強く感じていたことが伝わる言葉です。改めて「コミュニケーション」について、深く考えさせられ、その在り方を見直すきっかけになる本だと思います。

もしあなたがコミュニケーションに悩んでいるなら、ぜひこの本を手に取ってみてください。この本は、あなたのコミュニケーションスキルを向上させるための大きな助けとなるでしょう。そして、相手との対話がより豊かで意味深いものになることを実感できると思います。おすすめです!


※2 伊藤 守著「コミュニケーションはキャッチボール®︎」ディスカバー21発行 2004より引用

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